第2回リノベーションスクール@鳥取

7/24から26までの3日間、『第2回リノベーションスクール@鳥取』が開催された。

リノベーションスクール(以下スクール)との縁は、スーパー公務員である県庁の林さん経由で、スクールへの布石として、2014年1月に開催されたリノベーションシンポジウムのチラシをデザイン依頼いただきつつ、企画の一つのリノベ大喜利の登壇者にと声を掛けていただいたことが始まりだった。登壇には先約で断念で、その後も同年11月に開催された第1回目のスクールには受講生として参加しようと思っていたところ、またもや先約とバッティング。なかなかタイミング合わずで、最終日の公開プレゼンテーションを観覧するに留まっていた。

そして、第2回開催が決まった今年。何故か一気に受講生を飛び越えて、全国で活躍されるユニットマスターの下支え役、サブユニットマスター(以下SUM)として参加させていただくことになった。SUMは中心市街地のことを知る地元の人で、かつ何か街のことに取り組みをしてる人というくくりだと聞いたような気がするのだけど、合ってるんでしょうか。。受講生飛び超えてのポジションなので、依頼されて少し悩んだのだけど、同年代の鳥取銀行の齋藤くんもSUMだと聞いて、銀行マンという公の場で動きにくい立場の方が出る中で、自営業の自分が尻込みするのもダメだよなと思い、意を決してお引き受けした次第。

スクールは、主催は鳥取市で、共催として鳥取県一般社団法人鳥取県建築士会鳥取市中心市街地活性化協議会住もう鳥取ネットが。企画運営を、らいおん建築事務所の嶋田さんが代表を勤める、株式会社リノベリングが担当している。

少しこれまでの流れを踏まえておくと、第1回目は岡田良寛くんの「僕がやります!」宣言で熱狂の渦とともに終わり、1回目のサブユニットマスターの3名(コモン建築事務所&かつ江さん作者の高藤さん、工作社の本間さん、ヤマネコ荘オーナー山根さん)+今回のSUM池上さん4名で、鳥取家守舎が立ち上がり、その後もの凄いスピードで提案案件の1つである、Book cafe ホンバコ(ロゴデザインお手伝いさせていただきました)が岡田くん店主で今年5月に話題のスタバと同時OPENするという中で、一気に鳥取の中でも"リノベーション"というキーワードが広まっていった。

今回の講演の中で、スクールマスターの嶋田さんも"鳥取は全国の中でも驚異的な早さ!"と驚いていたけど、それが実現したのも、高藤さん&本間さんがこれまでにこつこつと街のなかでリノベーションという言葉が一般化する前からそれを生業としてやっていたことや、縦割りの行政の中で、従来の枠に囚われずそこをボーダレスに行き来できる県庁の林さん含む職員の方、主催である鳥取市の谷口さんチームが空き家情報を必死で探し、地主さんと交渉し、案件をリストアップし、下地を作ったこと、建築士会のバックアップや、街の人脈が豊富な中心市街地活性化協議会の方々、そして街のことをほっとけずこれまで活動していた民間の団体や、商店街組合、そしてそれに巻き込まれ始めた人等、それぞれがスクールで感化され、手を取り合いつつ、巻き込み巻き込まれていった結果なんだろうなと思う。これが人口が少ない鳥取の最大の強みなのだと。

そんな中、全国的にもスクール開催が相次ぎ、メディアや、SNS等でも取り上げられる機会が増え、この1年でその動きを感じつつ"リノベーション"って何だろう?と考えてきた人が多く居たのだと思う。今回の受講生もそうで、最終提案の内容でもそれは明らかだった気がする。もはや空き家をどう用途変更するかということより、そうすることでどうやったら周辺環境を変えていけるか?という視点が前提にあった気がする。


さて、今回スクール初参加者&SUMでの参加者視点で少し書いておくと、3日間で周辺調査やら、コンセプト決め、マーケティング、商品企画、収支計画等までするのは本当難しいなーと思った。まず、集まった受講生は事前にプロフィール基準で振り分けられているのだけど、SUMの自分ですら誰がどういうスキルを持っているかわからない状態から始まる。ユニットのメンバーで、3人は知人だったのだけど、何か一緒に仕事やプロジェクトをしていたわけではないので、メンバー適正を探りながら進めていくことに。ただ、ユニットマスターでSPEACのパートナー・アーキテクト宮部さんは、これまで何度もスクールを経験されているし、進め方も熟知されているので、自分の役割は受講生を見守りつつ、街を案内したり、エリアの今と昔の状況や情報を伝えたり、出て来た提案に対して、意見をしたりといったことをしていた。

そんな中、感心したのは、流石スクールに志願してきただけあり、皆さんやる事がわかるとすぐ動き始める。調べものをしたり、パワーポイントで資料を作成したり、写真を撮りにいったり、住人に聞き込み調査をしたりと、動きが速い。その結果を持ち寄り、話し合って提案内容を決め、連日夕方にショートプレゼンをするために奔走するのだけど、資料をパワポにまとめる時間が絶望的に足りない。2日目の夕方まではこんな感じで、本当に最終日プレゼン出来るのだろうか?という状況。ここで思ったのは、志願者はワード、エクセル、パワポが問題なく使えるようなスキルは最低条件なんだろなと。そうじゃないと、確実に出来ることが少なく、時間を持て余すことになる。あと、自分はどういうことをスクールに求めてきたのか、普段どんなことをやっているのか?といったことは共有しておいた方がいいと思った。

今回、自分はユニットAで、元Barだった2階建ての築60年を越える小さな物件が対象だったのだけど、キッチンとカウンターがそのまま残っていたので、より道できるテイクアウトの飲食店を提案するということになった。そうなるとプレゼンではどんなものを提供する店か?というところまで設定しないといけないのだけど、ここが"タマゴが先か?ニワトリが先か?"なもどかしい部分で、例えば「クレープ屋とかいいよね。」という意見が出ても、「じゃあいったいそれ誰がやるの?」という問いが常につきまとう。事業主問題も同じで、提案して終わりという感じだと、面白いけど本当に実現できるの?ということになる。なので、受講生メンバーに将来そういったことがやりたかった!という人がいない限り、どうしても提案内容にリアリティが出てこない。ここで、最初に「自分は将来飲食店がやりたいんです。」という明確な目的をもった受講生が確認できていると、その人のイメージをベースに進められたりするのかなと。ユニットメンバーとは別に、将来事業やりたい人グループがいて、ショートプレゼンを聞いてもらい「その提案私やりたいです!」となったらその人想定で内容を進めることができるといった仕組みもあったらいいなと思う。

ただ、このスクールは起業塾というわけではなく、街の使い方を提案したり再定義するという役割が大きいと思う。自分のユニットAの場合、対象案件単体にはそれほど特徴もなく、そこだけ見ているとどうすればいいのか分からなくなるけど、すぐ近くに花見橋という街中でも象徴的な赤い橋がある。そして、袋川があり景色もよく、春には桜満開になるという場所である。物件よりも、この景色の方が価値が高くて、そして斜め前には過去に有名なたこ焼き屋さんがあった。そのお店があるおかげで、子ども連れや、学校帰りの学生、近所の方等がテイクアウトして、川沿いでゆっくり過ごしている景色があった。それはつまり、その場所に思い出がある人がたくさんいるということ。だけど、今はたこ焼き屋さんも無くなり、ただの通過地点でしか無くなってるということは、思い出を持つ人を生み出せなくなっているということ。

そこに再度拠点をつくることで、思い出を作れたり、人が憩う光景が蘇る。そうなると、その場所の見え方が変わってきて、エリア一体に魅力を感じる人が増えるかもしれない。すなわちそれは風景そのものをリノベーションするということ。というこの言葉や概念はユニットワークを進めて行く中で、宮部さんから発せられたのだけど、流石だなーと思った。

こんな風に街には埋もれている宝がたくさんあるんだと思う。それは今は見えにくくなってるだけで、掘り起こし今の時代にあったように磨けばまた光る。リノベーションってそういうことなのかな?と思った。そして、使われていない場所が動き出すことで、人の流れが変わりエリアの価値が上がり、そこに新たなお店や住む人が増えたりすることで街が変化する。最終的に街のリノベーションへの布石がリノベーションスクールなんだなーと。そんなことを体感した3日間だった。


しかし、これで終わりではなく、ここからが始まりでもあって、最終プレゼンで発表された案を実現するために、どうしていくか?が今後の課題。1回目は開催と同時に家守舎が立ち上がり、提案案件を担当していくことになったけど、そういくつも一つの家守舎だけではカバーできない。となると、次なる家守舎が必要となるのだけど、果たして!?家守舎ってどうやって立ち上げればいいの?家守舎以外でも、動かせれるようにするのか?誰が先導していくの?等々、まだまだ始まったばかり。

でも、スクールによって行政関係者や市民の方、YouTube放送を見ていた全国の方にも魅力をプレゼンできた効果は大きいと思う。収支計画が甘いとか、いろいろ突っ込み所はあると思うけど、そのモヤモヤを共有できただけでOKというか、問題意識持ってくれる人や、応援してくれる人が増える程、その場所が動く原動力になると思う。数年後どうなっているのか?とても楽しみ。


余談だけど、終わってからの関係者の集まりの中で、市の谷口さんが「今でも不安だけど1回目スクールを開催したはいいけど何も実現できなかったらどうしようかと気が気でなかった」と本音を少し話していた。これはスクールに関わる全ての人の気持ちと同じだと思う。関わる全ての人がそれぞれのポジションでプレッシャーを感じながらも本気で取り組んでいるからこそ街が動いているんじゃないかな?

↑最終プレゼンの動画。全て見てほしいけど、ユニットAは46分頃から。


↑スクールマスター嶋田さんによるリノベーションまちづくりとは?


注:上記全ての記述はあくまで個人主観です。

リノベーションスクールについての詳しくは、『リノベーションスクール』サイトへ。

リノベーションについて詳しく知りたい方は嶋田さん著書『ほしい暮らしは自分でつくる ぼくらのリノベーションまちづくり 』を読んでみるのがお勧め!

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